【おすすめ映画】ダンサー・イン・ザ・ダーク

有名な映画。高校生のときに初めて見ました。

ネットで調べると結末の衝撃度ゆえに、

「二度と見たくない」

ってレビューが多いお話です。
映画が好きな人とこの話をするとだいたい朝までかかります。

これ系の映画は割と見てるほうで、
これとダーレン・アノロフスキー監督(ブラックスワン、レスラー、πなど)の、
レクイエム・フォー・ドリーム(これも超おすすめ!)がフェイバリットです。

とにかくお話に救いがありません。
まじでない。まったくない。

監督のラース・フォン・トリアーはこの作品で、
カンヌのパルムドールを獲りましたが、
もう精神的に色々とやばかったんじゃねえのかっていうくらい、
制作秘話には枚挙に暇がありません。

ただ、話題になるのは脚本についてが多く、
実際の映像作品としての評価についてあんまり書いてる記事がなかったので、
私が感じたおすすめポイントについて書きます。

1.カメラワークで現実と虚構を描き分ける

ダンサーインザダークの最も優れた点は、
卓越した脚本以上に、その演出にあると思います。

ビョークが演じるセルマの普段の生活については、
ドキュメンタリータッチの手持ちカメラで表現。

セルマが空想にふけって歌い出すミュージカルシーンについては、
フィックスしたカメラ(工場のシーンでは100台の固定カメラで撮影したそうです)による、
細かいカット割りで表現。

日常シーンについては、トーンを限界まで抑え、
淡々と(意図的に退屈に)描くことによって、
ミュージカルのシーンを際立たせるとともに、
主人公の心理状態を反映する意図があります。

同じ手法で作られた映画はたくさんあって、
つい最近だと押井守監督のスカイ・クロラは、
飛行機の戦闘シーンと日常シーンを演出上の意図で、
描き分けていました。

現実と虚構の対立構造を、カメラワークによって描き分けることで、
主人公のセルマにとっていかに空想、虚構が大切であるか、
それらがいかに光り輝いたものであるかを如実に切り取ることに成功しています。

つらい現実を生きる主人公にとって、
虚構が唯一の救いであることをカメラの使い方で視聴者に共有させているんですね。

どういう効果かっていうと、

この映画、
とにかく普段のシーンは手持ちカメラでひたすら追いかけまわしています。

ドキュメンタリーっぽい撮影に視聴者が慣れてきた頃で、
突然恐ろしく演出されたミュージカルシーンが入り込んでくるので、
やたらと新鮮に映る。

同時にそれがストーリーが内包する、
脚本上の光と影を絶妙に飾り立てています。

すなわち、

お話と演出がほぼ完璧にリンクしています。

こういう映画はあんまりありません。

個人的には電車のシーンがとっても好きです。
シーンへの入り方、お芝居、カメラ割り、
何度みても鳥肌が立ちます。

2.ジャンプカットの多用と意図

ジャンプカットっていうのは、
インタビュー撮影とかでよくある、

同じ構図、同じ画角で、被写体だけが移動してる

ってやつです。
固定カメラで長回しをして、途中を切り取ると出現します。

最初にみたときはあんまり気付かなかったんですが、
この映画、やたらとジャンプカットが多い。

ジャンプカットって、
基本的には避けたほうがいい演出なんですよね。

ですが、
この映画に関しては使うことに成功しています。

ドキュメンタリータッチで描いている日常部分に、
しつこいくらいにジャンプカットが入り込んでくるので、
その「手抜き感」が、
妙なリアリティを演出してるんですね。

こういう風に、
虚構にドキュメンタリータッチを持ち込んで、
リアリティをブーストさせるやり方を「モキュメンタリー」
っていうんですが、同じ手法で成功した映画としては、

・ブレア・ウィッチ・プロジェクト
・REC/レック

 →手持ちカメラで主観的な恐怖を演出

・クロニクル
 →手持ちカメラでトリックを本物の超能力のように演出

などなど。

こういうのをすべて計算して作ったんだな、
というのがよくわかる映画です。

3.変更されたラストシーン

映画のラストでセルマが、
息子のジーンが手術に成功したってことを知り、
死を受け入れるシーンがあるんですが、

ラースフォントリアーの最初の脚本だと、

「息子の手術が失敗し、失明したことを告げられる」
「セルマは発狂したまま殺される」

となっていたらしいです。
恐ろしい男ですね。笑

ビョークはあまりに救いのないラストを拒否したとのこと。

個人的には変更前のお話のほうも見てみたかったです。

鬱映画が好きな人はレクイエムフォードリームもぜひみてください。
演出も素晴らしいです。

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